1990年代に国民的アイドルだった100歳の双子姉妹、きんさんぎんさんを覚えていらっしゃいますか。
とても100歳とは思えないほど元気で、CMに起用されTV出演も多数されていました。
106歳で『徹子の部屋』に出演してよどみなく喋り、103歳で人生初の海外旅行、台湾へ行くなど、
フレイルや認知症と無縁の健康長寿高齢者でした。
ところでつい最近、このおばあさんたちには、歯がなかったことを知りました。
きんさんは0本、ぎんさんは3本。
長生きするには歯が大事、80歳で20本の歯を保つようにと言われていたはずです。
ではなぜ歯のないおばあさんたちが元気で長生きできたのか。
日本歯科大学の菊谷武先生が週刊誌で興味深いことを紹介されています。
命の根源である食をとるには咀嚼(噛む力)と、嚥下(飲み込む力)が必要です。
嚥下は歯だけでなく舌も重要な役割を担っているそうです。
きんさんぎんさんがよく食べ、よく喋り、よく生きることができたのは、
活発に動く舌が健康を支えていたのだろうとおっしゃっています。
舌の役割についてみると、
歯がなくても舌で食べ物を潰したり噛み砕くことができます。
また、鋭敏な感覚でゴマ粒や髪の毛1本でも異物を察知できます。
さらに、食べ物を飲み込む時に0.8秒だけ息が止まって、
その間に気管を閉じて食道が開くという作業が自動的に行なわれており、
『呼吸』と『嚥下』が切り替わっているそうです。
この切り替えに舌が中心的な役割を果たしていて、
舌が衰えると嚥下がうまくいかず、誤嚥性肺炎や窒息事故が起きます。
これまで舌の重要性が知られていなかったため、
歯磨きは熱心に行っても、舌の手入れはおろそかになっていたのではないでしょうか。
長寿に口腔内の健康が今や常識。
毎日、舌ブラシで舌の清潔を保ちたいものです。
次回に舌の老化を防ぐトレーニング法とケアについてご紹介します。